職場のセクハラの相談の例です。(兵庫県内の性被害についての相談や支援機関の紹介を行うNPO法人性暴力被害者支援センター・ひょうごに寄せられる相談・回答をもとに、地域や年齢など、個人を特定しないよう一般化してご紹介しています)
被害者:女性 30代
相談者:本人
相談内容:職場の同僚男性から勤務時間中に「ちゃんと子づくりしてる?週何回しているの」と何度もLINEが来てスルーし続けていたら、体を触ってきた。上司に相談したが相談した次の日、相談者に配置転換の話が出された。今、うつで仕事に行けない。セクハラが原因の休職として会社に補償をしてもらいたいので、相談先を教えてほしい。
参考資料:職場でのセクシュアルハラスメント (mhlw.go.jp) 、事業主の講ずべき措置等 (mhlw.go.jp)
職場環境の改善はどこに相談したらいい?
職場で設置が義務付けられているセクシュアルハラスメント相談窓口または、労働組合に相談することが可能です。職場の相談窓口や労働組合には相談しにくいという場合は、個人でも加入できるユニオンや、社会保険労務士、弁護士などに相談してみましょう。
民間企業で働いている方は、都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)へも相談できます。
公務の職場で働いている方は都道府県労働局ではなく、国家公務員の場合は人事院の相談窓口、地方公務員の場合は人事委員会(公平委員会)、公立学校の教員の場合は教育委員会となります。ただし雇用形態の違いで相談窓口が異なる場合があります。
職場とは、例えば、ふだん働いている場所 /出張先 /取引先の事務所 /顧客の自宅 /取材先 /業務で使用する車中 /アフターファイブの宴会(業務の延長と考えられるもの)を言います。(「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき 措置等についての指針」(平成 18 年厚生労働省告示第 615 号)【令和2年6月1日 適用】より)。
以上の職場の定義に当てはまらない場合は、相談窓口は各都道府県の性暴力被害者支援のためのワンストップセンターや法律相談となります。
相談する前に
証拠や相談した記録を残しておいたほうが良いです。性的な言動のLINEを保存しておく、身体接触のあった日時・場所、上司に相談した日時・内容や、誰にいつどこで配置転換を言われたかなども記録しておきましょう。また、相談した人・機関についても記録を残しておくとよいでしょう。
補償を求めたい
会社と性的言動を繰り返した相手に対して補償や損害賠償請求、職場復帰のための職場改善等を求めるなどして交渉・調停、民事訴訟をおこす等法的手続きをとることは可能です。
その場合はまずは法律相談をお勧めします。セクハラ訴訟や労働問題に詳しい弁護士にお心当たりがあれば相談してみてください。お心当たりがない場合は「支援機関一覧」から「法的支援」で絞り込み、「法律相談」ができる機関に、ご相談ください。
「支援機関一覧」から「どうしたらいいか(どこに相談したらいいかわからない)など」で絞り込んで、最寄りの相談先にご相談ください。
どの相談窓口か迷う場合は、このサイトを運営している「性暴力被害者支援センター・ひょうご」にご相談いただくと、ご希望があれば面談の上で法律相談に付き添うことができます。
労災の申請
セクシュアルハラスメントを受けたことによって精神疾患を発症した場合、労災申請をすることができます。
参考:労災補償 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
労災の申請書類は勤務地の都道府県にある労働基準監督署で入手できます。厚生労働省のサイトからダウンロードもできます。
ダウンロード用(OCR)様式|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
労災の申請は手のかかる作業なので労働組合、社会保険労務士、弁護士に相談することをお勧めします
なお、健康保険の傷病手当金(※)の支給を受けていても労災の申請はできます。(傷病手当金と労災保険の療養給付は同時に給付されませんが、労災認定後に精算すれば大丈夫です)。
(※)精神科診療所/クリニックによるうつの診断書があれば、仕事を辞めることなく、傷病手当金により給与の一部が保証されます。
しんどい気持ちを聞いてもらいたい
「支援機関一覧」から「心のケア」で絞り込み、最寄りのカウンセリングができる機関にご相談ください。
どの相談窓口か迷う場合は、女性の場合、「NPO法人フェミニストカウンセリング神戸」(有料)や各地の「男女共同参画センター」の女性相談(無料)へのご相談が良いでしょう。
男性の場合は「カウンセリングオフィスPomu」(有料)または「兵庫県立男女共同参画センター」の男性相談(無料)もご利用いただけます。
事業主がセクシュアルハラスメント対策をすべき対象(行為者)は、職場における事業主、上司、同僚に限りません。 勤務時間内であれば、仕事における取引先や顧客、病院における患者、学校における生徒等も対象となりえます。 参考資料:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント (mhlw.go.jp)