教師からのセクハラ被害の相談の例です。(兵庫県内の性被害についての相談や支援機関の紹介を行うNPO法人性暴力被害者支援センター・ひょうごに寄せられる相談・回答をもとに、地域や年齢など、個人を特定しないよう一般化してご紹介しています)
被害者:中学生女子
相談者:女子の母
相談内容:中学生の女子が部活の顧問の教師から、体を触られるなどのセクハラ被害を受けた。
本人が友達や保健室の養護教員に話をしたみたいで、学校から連絡が入ってわかった。
いま学校へ行けなくなっています。加害教師に辞めてもらいたい。どうしたら辞めさせられますか。
事実の聴き取り
保護者も心配になり、子どもから被害の詳細を聞いておきたいと思うかもしれません。しかし、被害のことを詳細に思い出して、子どもがしんどくなることは避けたいところです。
また、いろんな人が何度も話を聞くことで、重要な証拠となりうる証言の信ぴょう性が疑われてしまう場合があるため、聴き取りは1回で済むように、このサイトの「危機対応の手引き」を学校側と共有し、誰がいつどのように聴き取りをするのか申し入れをしましょう。
もし、学校との間で危機感の共有が難しいとき、公立学校の場合は最寄りの市町教育委員会のホームページから学校生活の相談窓口などを検索してご相談ください。なお私立の学校は、市町教育委員会の管轄ではないため、相談先は弁護士等になります。
「支援機関一覧」から「法的支援」で絞り込み、法律相談ができるところにご相談ください。
体のケア
このようなときは病院を受診しましょう。
- ケガ・出血があるとき
- 痛みがあるとき
- 妊娠のおそれがあるとき(被害から72時間以内であれば緊急避妊ピルが有効なことがあります)
迷うときはワンストップ支援センターに相談するのもよいでしょう。被害後、気持ち、考え方、行動の変化がおきる可能性があるなどの情報提供も受けられます。
性器のケガ、妊娠が心配なときは「支援機関一覧」からエリアと「医療的支援」で絞り込むと、兵庫県内の産婦人科一覧が表示されます。そこで医療機関で夜間窓口や女医かどうか、の情報を得ることができます。「緊急避妊ピルの院内処方が可能」な医療機関のみを絞り込むこともできます。
性器以外のケガは産婦人科では診察できないので、ケガの部位に合わせた科を受診してください。
例)骨折や捻挫…整形外科、肛門のケガ…肛門科、殴打などによる痛みやアザ…外科
※複数のケガがある場合は総合病院に行かれることをお勧めします。
心のケア(学校に行けないなど)
どうしたいかを子どものペースで話し合ってください。無理強いする必要はありませんが、学校と学習機会の保障や学校内で噂とならないような対応、安全な登下校対策などを緊密に話し合ってください。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの面談も要望できます。
心への影響が心配なときは、「支援機関一覧」から「心のケア」で絞り込み、ご相談ください。ワンストップ支援センターでも心のケアについてご相談頂くことも可能です。
加害教師を辞めさせたい
子どもの気持ちを確かめたうえで、学校の方針をまず聞いてみてください。
学校の対応に納得がいかない場合は市町の教育委員会や弁護士への相談をおすすめします。
性暴力についての弁護士への相談は「支援機関一覧」から「法的支援」で絞り込み、法律相談ができるところにご相談ください。
警察への届出
警察に届けることで、加害者が法的に罰されるかどうかの検討をしてもらえます。
ただ、子どもは、おおごとにはしたくないという気持ちを持っているかもしれません。その気持ちを受け止めながら、大人の考えや気持ちを先行させず、子どもの意思を尊重するプロセスを大切にしてください。警察から本人の負担軽減のためにできることなどを聞くこともできます。
「支援機関一覧」から「法的支援」で絞り込み、性犯罪110番♯8103か、または、最寄りの警察署にご相談ください。被害届を出す場合は、被害にあった場所の警察署に行くことになります。
保護者のケア
保護者もショックで眠れなくなったり、食べられなくなったりして、心身に不調をきたすことがあります。とてもショックなことが起きたときの自然な反応なのですが、学校でスクールカウンセラーに相談することもできます。
「支援機関一覧」から「心のケア」で絞り込み、ご相談ください。
「性暴力被害者支援センター・ひょうご」にご相談いただくことも可能です。
参考情報 「性犯罪・性暴力」で処分された教職員~8年連続で200人以上に 2021年12月、文部科学省は2020年度に懲戒処分を受けた公立学校の教員の数を公表しました。性犯罪・性暴力等により懲戒処分等を受けた者は200人、そのうち児童生徒等に対する性犯罪・性暴力により懲戒処分を受けた者は96人(免職91人)に上ります。8年連続で200人を超えています。 現在、全ての都道府県・指定都市教育委員会の懲戒処分基準に、児童生徒等に対して性暴力等に及んだ旨の規定が整備されています。 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が施行(2022年4月1日) この法律により、教育職員等による児童生徒性暴力等を明確に禁じる規定が置かれ、被害を受けた児童生徒等の同意や、当該児童生徒等に対する暴行、脅迫等の有無を問わず、刑法上 の性犯罪の対象とならない行為も含め、教育職員等が児童生徒に性暴力等を行うことは全て法律違反となります。そのほか、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する総合的な規定が初めて整備されることとなりました。(「教育職員等による児童生徒性暴力等の 防止等に関する基本的な指針」令和4年3月18日文部科学大臣決定より) 児童生徒等に対し性暴力等を行った教員への厳正な対応について:文部科学省 (mext.go.jp) 学校と警察の情報共有と対処が明記 2022(令和4)年、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」で、示されました。 「学校の設置者及びその設置する学校は、児童生徒等からの相談などにより、教育職員等による児童生徒性暴力等の事実があると思われるときは、被害児童生徒等の負担に十分に配慮しつつ、学校、学校の設置者等及び所轄警察署との間で情報共有を図り、迅速に事案に対処するとともに、被害児童生徒等やその保護者に対して、必要な保護・支援を行う必要がある。こうした一連の取組は、法の目的や基本理念も踏まえ、被害児童生徒等を徹底して守り通すことに留意して行われなければならず、悪しき仲間意識や組織防衛心理から事なかれ主義に陥り、必要な対応を行わなかったり、躊躇したりするようなことがあってはならない。」(令和4年3月18日文部科学大臣決定)下線部引用者