「性暴力被害者支援センター・ひょうご」に学校関係者からよく寄せられる相談をFAQにまとめました。
●「言いづらいことを話してくれてありがとう」と話してくれた気持ちをまずねぎらい、そのうえで被害届を出したくない/他の機関とつながりたくない理由を聴いてみましょう。被害を受けた直後は何度も被害のことを言いたくない、思い出したくない、そっとしておいてほしいと思って当然です。周りに知られたくなかったり、加害児童生徒からの仕返しを恐れていたり、自分も悪かったと思っていたりする場合もあります。「どうして」ではなく「どういうことで」という聴き方をしましょう。
●警察などに相談することで加害児童生徒からの再被害を防げること、警察以外に性暴力被害者支援センターや医療機関で身体や心のケアができることなどを丁寧に説明します。電話やメールなど匿名でも、また時間がたってからでも、相談できるところがあることも伝えましょう(⇒学校で性暴力被害があった時の連携・支援先一覧(兵庫県))。
●相談を受けた教職員は立場上「秘密にしておくことはできない」とはっきり伝えましょう。そして、被害後、眠れない、おなかが痛くなるといった心やからだの反応が出る場合もあることを説明します。そうした時には状況をわかってくれている教職員が何人かいる方が安心して相談できるので、被害のことを伝えてもよい教職員(担任、養護教諭、部活担当、スクールカウンセラーなど)は誰かを児童生徒自身に選んでもらいます。参考:被害児童生徒の心のケア
●本人が今はその気になれなくても、相談を受けた教職員や被害児童生徒の保護者が相談機関とつながりアドバイスを受けることは、二次被害を避けるためにも大切です。
(参考:被害児童生徒への対応、⇒学校で性暴力被害があった時の連携・支援先一覧(兵庫県))
●事実確認と指導を分けることが重要です。事実確認では話を聴く側が感情的になったり、誘導尋問になったりしないよう注意が必要です(参考:子どもへの聞き取り)。
●加害児童生徒には、被害児童生徒を傷つけ法律に抵触する行為であることをはっきり伝えます。加害児童生徒のおかれている環境から、性に対する誤った考え方を学習していることがあります。指導の場面では何をもって相手が同意していると考えたか、付き合っていることが性行為の同意ではないことを、デートDVチェックリスト(参考サイト:「DVって何?デートDV」)などを使用し、男女での心のずれ、行動のずれを一緒に考えるようにします(参考:性問題行動を起こす児童生徒への対応)。
●事実確認と指導を分けるという点は前項と同様ですが、「加害者」と決めつけるのではなく、まず何があったかをオープンクエスチョンで聴き、やっていないという思いを受けとめます。「詳しく教えて」「・・・やってない、君はそう思うんだ」等、淡々と事実を聴きます(参考:子どもへの聞き取り)。
●事実の確認後、加害児童生徒が話しやすい教職員が、信頼関係を壊さないようにしながら、段階的に、(被害)相手との関係をていねいに聴いていく中で、加害児童生徒の性知識のレベル、価値観、どこまでを性行為と認識しているのかを評価します。これまでに性暴力被害を受けたことはないか、性情報をどのように入手しているのかなど加害の要因を明らかにすることが、再発予防の上では重要です。
●保護者からの叱責をおそれている場合やDV・虐待など深刻な環境にある場合、保護者に養育能力がない場合もあります。強制性交や強制わいせつといった法律に抵触する事実関係を巡って被害児童生徒側と対立する場合には、警察や弁護士への相談といった第3者機関を活用し、学校内の担当者を決めて進捗状況などについても緊密な調整が重要です(⇒警察・性暴力被害者支援センターができること、弁護士ができること)。
● 「被害がなかった」ことが確実でない場合でも、被害児童生徒にとって加害児童生徒は脅威であり、校内や登下校時に会わないような配慮をすべきです。いじめの場合にいじめられた児童生徒の立場に立つことが原則であるのと同様です。
尼崎市では「尼崎市立小学校及び中学校の児童生徒に係る出席停止の命令手続きに関する要綱」が制定されています。これは、児童生徒が素行不良等の行為を繰り返し行い、他の児童生徒の教育に妨げがあると認める場合、校長が教育委員会に出席停止に関する意見具申を提出し、教育委員会が当該児童生徒及び保護者から意見聴取を行い、出席停止を決定できるとされています。
学校は、被害児童生徒の安心・安全な居場所作りについて最大限の配慮を行い、上記の出席停止命令についての要綱に基づきながら、加害児童生徒の別室学習や出席停止等の措置を講じなければなりません。同時に、加害児童生徒の教育を受ける権利も守らなくてはならないため、教育委員会と連携して、両者の思いに寄り添った丁寧な対応をする必要があります。
●要綱では「規定されている行為を繰り返し行う等・・・」と制定されており、現実的には運用のハードルは非常に高いことが想定されます。
●出席停止期間は「可能な限り短い期間」と制定されているので、必ずしも被害児童生徒側の要望に添えるものになるとは限りません。
(尼崎市教育委員会いじめ防止生徒指導担当)
●子どもの気持ちを尊重しつつ、保護者にリスクと対応方法について情報を提供し、早期に動くことが肝要です。性的な誹謗中傷や興味本位の書き込みは、削除は早ければ早いほど二次被害の拡大を防ぐことができます。相談を受けてすぐに動くことで子どもの不安や孤立感の軽減につながります。
●裸や性的行為の写真や動画は、だれが撮ったものでも所持しているだけで児童ポルノ防止法等に抵触することがあります。すぐに削除するよう指導しましょう。「自撮り」については、子どもも保護者も危機感が低い場合が多いので、より注意喚起が必要です。どの範囲まで画像が広がっているのか把握するための情報を収集する窓口(担当の教職員)を1本化し、情報をキャッチした時は、画像を所持している児童生徒に対して興味本位で拡散させないよう指導してください。「いじめの傍観者」と同様に被害児童生徒を傷つけることになると伝えます。
●拡散された画像や動画は「デジタルタトゥー」と呼ばれるほど、消すことが困難な場合が多いのですが、まず書き込みや画像等を確認したうえで証拠用に記録をしておきます。次に当該サイトの「削除・お問い合わせフォーム」から、「どのような規約違反があるか、どのような権利侵害(名誉棄損やプライバシー侵害など)に該当するか」を明記して削除依頼を出すことができます(兵庫県教育委員会「いじめ対応マニュアル〈改訂版〉」15頁「書き込み等の削除の手順」参照)。
ただ保護者や学校だけでは対応できないことも多いので、子ども・保護者の了解を得て警察に相談しましょう。
●保護者も含めたインターネットを使いこなす能力(ネットリテラシー)や性教育、人権教育は大事ですが、日頃から計画的に行っているものでなければ、被害が起こってから全校児童生徒に向けて指導すると、被害児童生徒や加害児童生徒のプライバシーがさらに脅かされるおそれがあります。ある程度時間がたって学校/学年全体が落ち着いてからでないと実施することは難しいものです。一方、被害後早い時期に、教職員に向けて性に関する正しい知識や性暴力被害についての研修を行うことは、被害がもたらす心身への影響や、加害にいたる様々な要因などを理解するうえで重要です。
兵庫県警察(サイバー犯罪に対する相談)
078-341-7441
受付時間:月~金 9:00~17:45(土日祝・12/29~1/3除く)
特定非営利活動法人「ぱっぷす:PAPS-性的搾取に終止符を打つためのプロジェクト」
「アダルトビデオ/性風俗関係で困っている、リベンジポルノ/盗撮被害、性的な写真を送ってしまった、身近な人に被害を相談された、動画や画像を削除したい」などの相談を受けている団体です。
相談専用電話:050-3177-5432
メール相談はホームページから https://www.paps.jp/support
WEBテキスト版
ページ下部からダウンロードできるPDF版「危機管理の手引き」の内容をWebページでご覧いただけます。
性暴力の定義と学校での性暴力被害対応の概要
学校で性暴力被害がおこった場合のタイムライン(学校全体の取り組み)
学校での性暴力を未然に防止するための教育、いつから、どのように?
学校での性暴力を早期発見するためにー「いじめアンケート」のサンプル
被害児童生徒への対応(総論・各論)
被害児童生徒の心のケア
性暴力被害者のトラウマ反応の例
性問題行動を起こす児童生徒への対応
性暴力加害・被害について、子どもへ聞き取りをする際のポイントとケースシートの例
学校での性暴力に関するFAQ、こんな時どうしたら?
└被害児童生徒が被害届を出したくない/他の機関には相談したくないという時には?
└加害児童生徒が認めないときの対応
└学校が被害児童生徒や保護者から 加害児童生徒の出席停止を求められたら?
└インターネット上の被害を相談されたら?
警察・性暴力被害者支援センターができること
弁護士ができること
学校で性暴力被害があった時のマスコミ対応
学校で性暴力被害があった時の連携先一覧(兵庫県)
学校関係者が読んでおくべき性暴力関連の文献・書籍/参考サイト
WEBテキスト版
ページ下部からダウンロードできるPDF版「危機管理の手引き」の内容をWebページでご覧いただけます。
性暴力の定義と学校での性暴力被害対応の概要
学校で性暴力被害がおこった場合のタイムライン(学校全体の取り組み)
学校での性暴力を未然に防止するための教育、いつから、どのように?
学校での性暴力を早期発見するためにー「いじめアンケート」のサンプル
被害児童生徒への対応(総論・各論)
被害児童生徒の心のケア
性暴力被害者のトラウマ反応の例
性問題行動を起こす児童生徒への対応
性暴力加害・被害について、子どもへ聞き取りをする際のポイントとケースシートの例
学校での性暴力に関するFAQ、こんな時どうしたら?
└被害児童生徒が被害届を出したくない/他の機関には相談したくないという時には?
└加害児童生徒が認めないときの対応
└学校が被害児童生徒や保護者から 加害児童生徒の出席停止を求められたら?
└インターネット上の被害を相談されたら?
警察・性暴力被害者支援センターができること
弁護士ができること
学校で性暴力被害があった時のマスコミ対応
学校で性暴力被害があった時の連携先一覧(兵庫県)
学校関係者が読んでおくべき性暴力関連の文献・書籍/参考サイト
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このウェブサイトを運営している「性暴力被害者支援センター・ひょうご」は、性暴力の被害者支援や予防的活動を行っています。上記の「危機管理の手引き」の配布や「バーチャル・ワンストップ支援センターひょうご」の運営にかかる費用等に充てさせていただきたく、お一人でも多くにご支援いただけると幸いです。
郵便振替の方は、一口千円より下記にお願いいたします。
振込先 郵便振替 00950-4-274165「性暴力被害者支援センター・ひょうご」