性暴力被害のトラウマ反応の例

性暴力被害者のトラウマには下記のようなものがあります。

  1. 身体反応
    言葉にすることが難しい子どもたちは、事件後の自身の変化を周囲にうまく伝えられず、身体反応(腹痛、下痢、便秘、生理不順、頭痛、食欲不振、不眠など)が出現しやすい
  2. 情緒的反応
    不安・恐怖、ゆううつ、呆然としている、気分がコロコロ変わる
  3. 行動での反応
    赤ちゃん返り(退行現象:親にくっつきたがる、一緒に寝たがる)、行動が消極的、自暴自棄的な行動(自傷行為、性非行)をとる
  4. 思考の反応
    マイナス思考、被害時のことを覚えていない
  5. PTSD症状
    再体験症状:出来事に関連するようなことがきっかけとなり、被害時のことを急に生々しく思い出す(フラッシュバック)、夢に出来事の内容が出てくる(「嫌な夢を見る」と表現することもある)
    過覚醒症状:物音に敏感になる、落ち着かず集中力が低下する、警戒心が強くなる、眠れない
    回避症状:出来事を思い出すようなことを避ける
    (性暴力被害があった場所、加害児童生徒に関すること、性暴力被害のニュースやドラマでの同様なシーンなど)

※もともと他にもトラウマを抱えていたり、被害後に十分対応してもらっていなかったりした場合、上記の症状に加えて、対人関係がうまく築けない、感情のコントロールができない、自分をとても卑下するーなどが見られます。
被害児童生徒から被害の状況を聴いたときに、心身の不調も訴えるかもしれません。その時は簡単に上記のような反応が出るのは当たり前のことだと説明し、のちに性暴力被害によるトラウマ反応の心理教育パンフレットなどを渡して説明しておいた方がよいでしょう。


参考文献『子どもへの性暴力-その理解と支援-』(藤森和美・野坂祐子編)
参考サイト「問題行動の背景をトラウマの視点から考えてみよう

WEBテキスト版

ページ下部からダウンロードできるPDF版「危機管理の手引き」の内容をWebページでご覧いただけます。

性暴力の定義と学校での性暴力被害対応の概要
学校で性暴力被害がおこった場合のタイムライン(学校全体の取り組み)
学校での性暴力を未然に防止するための教育、いつから、どのように?
学校での性暴力を早期発見するためにー「いじめアンケート」のサンプル
被害児童生徒への対応(総論・各論)
被害児童生徒の心のケア
性暴力被害者のトラウマ反応の例
性問題行動を起こす児童生徒への対応
性暴力加害・被害について、子どもへ聞き取りをする際のポイントとケースシートの例
学校での性暴力に関するFAQ、こんな時どうしたら?
└被害児童生徒が被害届を出したくない/他の機関には相談したくないという時には?
└加害児童生徒が認めないときの対応
└学校が被害児童生徒や保護者から 加害児童生徒の出席停止を求められたら?
└インターネット上の被害を相談されたら?
警察・性暴力被害者支援センターができること
弁護士ができること
学校で性暴力被害があった時のマスコミ対応
学校で性暴力被害があった時の連携先一覧(兵庫県)
学校関係者が読んでおくべき性暴力関連の文献・書籍/参考サイト

PDF版ダウンロード

「学校で性暴力被害がおこったら 被害・加害児童生徒が同じ学校に在籍している場合の危機対応手引き」

発行:2020年6月
発行元 
国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)による「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域で採択されたプロジェクト「トラウマへの気づきを高める“人―地域―社会”によるケアシステムの構築」の成果物です。教育関係者、医師(小児科、精神科、産婦人科)、福祉、警察、弁護士、NPOなど多領域の関係者で作成しました。
調査研究者:兵庫県立尼崎総合医療センター 田口奈緒

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