性暴力被害者・加害者のために弁護士ができること

学校内で児童生徒同士が当事者となる事件が発生した場合、当事者はもちろん、学校もその対応に迷うと思われます。スムーズにより良い解決へと導くため、被害児童生徒にも、加害児童生徒にも、そして学校側にも、法的なサポートが必要です。

被害児童生徒に対して

被害児童生徒は加害行為によって権利侵害を受けています。また、今後もその侵害が継続する可能性や二次被害を受ける可能性もあります。「被害者の権利」を守るためには早期に弁護士のサポートを求め、さらなる侵害を防止すべきでしょう。

加害児童生徒に対して

加害行為の背景事情を聴き取っていくと、加害児童生徒も保護者や他の児童生徒との関係で被害者であることも少なくありません。それらの事実を踏まえて、加害児童生徒への対応を考えましょう。加害児童生徒の行為が法的にどう評価されるのか、学校は警察へ通報すべきか、通報した場合、加害児童生徒はどのように扱われるのかなど、刑事事件に関する知識が求められる場面があります。刑事事件として扱われる場合、取り調べは事件の捜査になりますので、弁護士は同席することが出来ません。そのため、捜査の流れについて事前に説明を受けておくことは、加害児童生徒が自分の権利を守るために必要なことです。

被害が発覚した時点で弁護士への相談も行っておくと、その後の流れや被害・加害児童生徒の権利について関係者が理解したうえで対応できるメリットがあります(法テラスなど⇒つなぐ先一覧p.22)。被害・加害双方の保護者が感情的になっている場合にも、当事者の代理人として弁護士が間に入り、休学や転校の問題などお互いの権利を守りながら、被害の回復や再犯防止について冷静に話し合うことができれば、より良い解決に導くことが期待できます。両当事者を話し合いができる状況に促す過程で迷うことがあれば、スクールロイヤーとしての弁護士が、教職員をサポートしていきます。

性暴力被害者支援センターにできること

性暴力被害にあった人たちは、それまでの日常生活が一変するような経験を余儀なくされます。傷つき、混乱し、これからどうしたらよいのか途方に暮れてしまうことは、被害にあった児童生徒だけでなく、その保護者や教職員にも当然あることです。性暴力被害者支援センターでは、専門的な研修を受けた相談員がお話を伺いながら必要な情報を提供することができます。被害児童生徒だけでなく、保護者や教職員も匿名で相談することができ、ご本人の了承がない限り、相談内容が外に漏れることはありません。警察の事情聴取や医療機関への付き添い、カウンセリングの紹介や各種費用のサポートなど、各センターにより可能な支援内容は少し異なることもありますが、まずはホットラインへお電話してください。(⇒学校で性暴力被害があった時の連携先一覧(兵庫県)

WEBテキスト版

ページ下部からダウンロードできるPDF版「危機管理の手引き」の内容をWebページでご覧いただけます。

性暴力の定義と学校での性暴力被害対応の概要
学校で性暴力被害がおこった場合のタイムライン(学校全体の取り組み)
学校での性暴力を未然に防止するための教育、いつから、どのように?
学校での性暴力を早期発見するためにー「いじめアンケート」のサンプル
被害児童生徒への対応(総論・各論)
被害児童生徒の心のケア
性暴力被害者のトラウマ反応の例
性問題行動を起こす児童生徒への対応
性暴力加害・被害について、子どもへ聞き取りをする際のポイントとケースシートの例
学校での性暴力に関するFAQ、こんな時どうしたら?
└被害児童生徒が被害届を出したくない/他の機関には相談したくないという時には?
└加害児童生徒が認めないときの対応
└学校が被害児童生徒や保護者から 加害児童生徒の出席停止を求められたら?
└インターネット上の被害を相談されたら?
警察・性暴力被害者支援センターができること
弁護士ができること
学校で性暴力被害があった時のマスコミ対応
学校で性暴力被害があった時の連携先一覧(兵庫県)
学校関係者が読んでおくべき性暴力関連の文献・書籍/参考サイト

PDF版ダウンロード

「学校で性暴力被害がおこったら 被害・加害児童生徒が同じ学校に在籍している場合の危機対応手引き」

発行:2020年6月
発行元 
国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)による「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域で採択されたプロジェクト「トラウマへの気づきを高める“人―地域―社会”によるケアシステムの構築」の成果物です。教育関係者、医師(小児科、精神科、産婦人科)、福祉、警察、弁護士、NPOなど多領域の関係者で作成しました。
調査研究者:兵庫県立尼崎総合医療センター 田口奈緒

性暴力被害者支援のための活動サポートをお願いします

このウェブサイトを運営している「性暴力被害者支援センター・ひょうご」は、性暴力の被害者支援や予防的活動を行っています。上記の「危機管理の手引き」の配布や「バーチャル・ワンストップ支援センターひょうご」の運営にかかる費用等に充てさせていただきたく、お一人でも多くにご支援いただけると幸いです。

郵便振替の方は、一口千円より下記にお願いいたします。
振込先 郵便振替 00950-4-274165「性暴力被害者支援センター・ひょうご」