学校で性暴力被害があった時のマスコミ対応

性暴力被害が公になると、マスコミへの対応が必要になる場合もあります。教育委員会が情報を一元化し対応することになりますが、学校における性暴力被害について関心を持ち研修を重ねてきた新聞記者が、学校側が報道と関わる際の留意点について下記にまとめました。

学校で起きた事件の取材に応じる場合、必要なのは何が起きたかの具体的な情報です。「どこをどう触ったか」といった行為の詳細ではなく、どんな状況、どんな関係性……など、なぜそのことが起きてしまったのかという問題点を考えるために必要な情報です。個人が特定されないようにしつつ情報提供することは可能であると考えます。しかし、報道機関にとっては問題ないと思える情報でも個人の特定につながる場合はあります。そんなときは「個人情報なので言えない」ではなく、例えば「この部活をしている生徒が限られているので、部活名は伏せます」というように、なぜ具体的にいえないのかを説明してください。隠蔽しているのではと感じると記者は追及せねばと考えてしまうものなので、この点からもなぜいえないのかを説明することは大切です。

取材の際には「報道に際して心配なこと」を記者に伝えることで、話し合いながら報道をともにつくることは可能です。しかし「検閲」になることを防ぐため、最終的にどう報道するかは報道機関が決める点についてはご理解をお願いします。

性暴力が長く「いたずら」と片付けられ、声を上げにくい状態が続いてきた中で、私たち報道機関は性暴力の実態が世に伝わることで、今後、性暴力が起きないようにするために取材をしています。子どもたちのためになる報道ができるよう、記者を支えていただけるとありがたいです。

WEBテキスト版

ページ下部からダウンロードできるPDF版「危機管理の手引き」の内容をWebページでご覧いただけます。

性暴力の定義と学校での性暴力被害対応の概要
学校で性暴力被害がおこった場合のタイムライン(学校全体の取り組み)
学校での性暴力を未然に防止するための教育、いつから、どのように?
学校での性暴力を早期発見するためにー「いじめアンケート」のサンプル
被害児童生徒への対応(総論・各論)
被害児童生徒の心のケア
性暴力被害者のトラウマ反応の例
性問題行動を起こす児童生徒への対応
性暴力加害・被害について、子どもへ聞き取りをする際のポイントとケースシートの例
学校での性暴力に関するFAQ、こんな時どうしたら?
└被害児童生徒が被害届を出したくない/他の機関には相談したくないという時には?
└加害児童生徒が認めないときの対応
└学校が被害児童生徒や保護者から 加害児童生徒の出席停止を求められたら?
└インターネット上の被害を相談されたら?
警察・性暴力被害者支援センターができること
弁護士ができること
学校で性暴力被害があった時のマスコミ対応
学校で性暴力被害があった時の連携先一覧(兵庫県)
学校関係者が読んでおくべき性暴力関連の文献・書籍/参考サイト

PDF版ダウンロード

「学校で性暴力被害がおこったら 被害・加害児童生徒が同じ学校に在籍している場合の危機対応手引き」

発行:2020年6月
発行元 
国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)による「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域で採択されたプロジェクト「トラウマへの気づきを高める“人―地域―社会”によるケアシステムの構築」の成果物です。教育関係者、医師(小児科、精神科、産婦人科)、福祉、警察、弁護士、NPOなど多領域の関係者で作成しました。
調査研究者:兵庫県立尼崎総合医療センター 田口奈緒

性暴力被害者支援のための活動サポートをお願いします

このウェブサイトを運営している「性暴力被害者支援センター・ひょうご」は、性暴力の被害者支援や予防的活動を行っています。上記の「危機管理の手引き」の配布や「バーチャル・ワンストップ支援センターひょうご」の運営にかかる費用等に充てさせていただきたく、お一人でも多くにご支援いただけると幸いです。

郵便振替の方は、一口千円より下記にお願いいたします。
振込先 郵便振替 00950-4-274165「性暴力被害者支援センター・ひょうご」